目次(文字数:3260字前後)
- ちょ…Kindle Unlimitedであと何が読めるの?
- Amazonの誤算とはいったい何だったのか?
- 冷静に事態を傍観していた集英社
- まとめ:これからも対象作品が削除され続けるなら利用者激減は必至!
ちょ…Kindle Unlimitedであと何が読めるの?
こんな記事を見つけました…
Amazonの電子書籍読み放題サービス「Kindle Unlimited」で、
大手出版社である講談社や、小学館の電子書籍が一方的に配信停止されてしまったということで、
両社からAmazonに対し、抗議文や改善の要請が出されている様です。
講談社、小学館と言えば日本を代表する老舗の出版社ですから、
その書籍が読み放題できなくなるのは寂しいですね。
「Kindle Unlimited」は定額制なので、読める本が減ってしまうのは
単純に損をした感覚になっちゃいます。
実は他にも配信が停止された企業もあるらしい…
フリーライターの鷹野凌さんが運営するサイトで、面白いデータが掲載されています。
上記サイトでは、8月から始まったKindle Unlimitedの対象本の一か月毎の推移が
表に記されています。
上の表はごく一部を参照したものです。全てをご覧になりたい方は
鷹野凌さんのサイトに掲載されております。
この表を見るだけでも、フランス書院、ぶんか社、白泉社、光文社等々、
名だたる出版社の電子書籍が10月の時点で
ことごとく大幅減少、もしくはゼロの状態になっちゃってます…
これらの全てがAmazonによるものなのか、出版社の意向なのかはわかりませんが、
利用者からしてみれば、
Kindle Unlimitedに由々しき事態が起きている?
と思ってしまいますよね?
Kindle Unlimitedの収益化の仕組み
今回の騒動の原因に、
Amazonが出版社に対して配当を支払えなくなるから
というのが理由の一つとして推測されています。
それでは出版社がKindle Unlimitedで収益を得るしくみとは
一体何なのでしょうか?
それを説明するために、わかりやすいイラストがありました!
アマゾン読み放題、人気本消える 利用者多すぎが原因?:朝日新聞デジタルより参照
Kindle Unlimitedでは利用者が月額980円を支払い、
出版社にロイヤリティとして振り分けられるんですね。
一つ補足するならば、
ロイヤリティは利用者が読んだページ量によって配分される
ということです。
個人的に電子書籍を出版している経験から推測すると、
1ページにつき、大体0.5円の配当になると思います。
大手出版社の場合は、さらに年内は上乗せされてるということです。
しかし、Amazonに想定外の事態が起き、
予想以上のロイヤリティを払わなければいけなくなることを危惧したため、
今回の配信停止の措置が取られてしまった…
ということの様です。
Amazonの誤算とはいったい何だったのか?
その1. 出版社への支払い「歩合制」&利用者の支払い「定額制」の違い?
Kindle Unlimitedは月額980円を支払うことで利用できる、
いわば「定額制」です。
対象となる電子書籍を読む分には、それ以上を支払う必要はありません。
しかし、Amazonが出版社に対して支払う額は、
ページ毎になっているので「歩合制」と考えることができます。
仮にロイヤリティを1ページ0.5円として、1冊の書籍が200ページだとすると、Amazonは出版社に100円を支払わなければいけません。
利用者が10冊を読んだ時点で、Amazonが支払うロイヤリティが1000円となり、
月額料金の980円を超えちゃうんですよね…
大手出版社の場合は、さらにロイヤリティが上乗せっぽいので、
もっと少ない冊数で月額超えちゃいます。
そう考えると「読み放題サービス」とは
月額は払っているけど、
金額以下の書籍分しか読まない客層も必要
という事かも知れませんね…
実際にはもっと元を取るカラクリはあるのかも知れませんが…
ただ、Amazonは本国アメリカでも先立ってKindle Unlimitedのサービスを開始しており、ある程度のマーケティングのデータもつかんでるハズなのですが、
なぜ日本では見誤ってしまったのでしょうか?
その2. 日本人、漫画読むスピード…超早くね?
私、Amazonの一番の大誤算はココだと思ってます。
漫画って他の書籍に比べて、読むスピードがかなり早いですよね?
アメリカでも「アメコミ」と呼ばれる漫画はありますが、
日本よりも一つのフキダシに入る文章が長く、読むのに意外と時間がかかるし、
ページ数も割とペラペラで少ないんですよね。
なのでそれほど支払うロイヤリティも多くなかったと思われます。
しかし!日本の漫画は迫力を出すために、
見開き2ページで1コマというのもあり…しかも…
こんな感じで、登場シーンとか爆破シーンだけで
無駄に数ページ使ったりしますよね?
上の例だけで言っても、1ページ0.5円と考えると
6ページ分で3円が秒殺で発生しますからね!!
人気漫画だとこれを10000人とか100000人が読むワケで、
このページだけで、3万円、30万円ですよ…スゴスギです!
これはAmazonも予想外だったと思われます…
その3. 日本人…初月無料期間に尋常じゃ無いほど読み過ぎいいい!(涙目)
私自身を考えてみてもそうなのですが、
日本人は「無料」というサービスが大好きで、特に「無料期間」なんかがあると
トコトンまで遊び尽くしてやろう!
という意識が働きやすいのかも知れません。
Kindle Unlimitedにしても、最初に「30日の無料期間」が存在し、
その間は無料で読み放題サービスが楽しめます。
ただ、Amazonとしては、その間も読まれた分は企業に支払わなければいけないワケです。
その時点で赤字なワケですが、今後の顧客を作るという意味では、ガマンして
将来に投資している形を取ってるのだと思われます…
が!!
日本人、無料期間なのに…
尋常じゃ無い程、読書してるんですけどおおおお!!!
と、Amazon内で半ば悲鳴にも似た衝撃が走ったのでしょう。
その驚きは「エヴァンゲリオン」で言うと、
使徒を…喰ってる!?
に匹敵するレベルかも知れません!!
(↑わかり辛過ぎてスミマセン…)
と、以上のような理由で
Amazonは日本でのKindle Unlimitedのビジネスモデルを見誤ったのではないか?
と思われます…
冷静に事態を傍観していた集英社
Kindle Unlimited発表当時、こぞって数々の出版社が参加を表明しましたが、
指折りの大手の中で、唯一と言っていいくらいに傍観の姿勢を示した出版社があります。
それが「集英社」ですね…
ご存じ、「ドラゴンボール」や「ワンピース」等、数々の人気作の版権を持つ出版社です。
Amazonとしても絶対に、参入して欲しかった企業の一つだと思いますが、
集英社は今回のような事態になる事を見越していたのでしょうか?
収入という面では集英社にとっても悪い話では無かったように思いますが、
今となっては「先見の明」があったのかな?と感じてしまいます。
もし仮に、「ドラゴンボール」や「ワンピース」が読み放題になってたら、
いったいいくらのロイヤリティを支払う事になってたんでしょう?
まとめ:これからも対象作品が削除され続けるなら利用者激減は必至!
サービスが開始した当初は、金額の割にそこそこ人気作の品揃えも多かったのですが、それも次々に削除されてしまい、
更に今回の騒動で、Kindle Unlimitedのイメージはかなり落ちてしまったと思われます。
私が発表当時に危惧していた「安かろう悪かろう」に近くなってきているのではないでしょうか?
それでも14万冊以上の品揃えは、まだまだ魅力的ではありますし、
私自身の好きな雑誌はまだ対象になっているので、利用は継続しますが、
このままでイメージが悪すぎて、利用者激減は免れないでしょう…
今後はAmazonの方でも、もう少し計画を立て直して、
もっと魅力在るコンテンツを増やしてもらえれば、と思います。
以上です…