目次(文字数:3400字前後)
棋譜って著作権あるの?
こんばんは!まるく堂です!
今、最も注目を浴びているプロ棋士と言えば、
藤井 聡太(ふじい そうた)四段ですよね!!
昨年の2016年、史上最年少の14歳でプロ入りし、
「ひふみん」こと加藤一二三 九段や、羽生善治 九段等、
名だたる棋士達に勝利し続け、
前人未踏の29連勝を達成したのは記憶に新しいところです。
彼の関連グッズは連日飛ぶように売れていて、
特にニュースになるのは「クリアファイル」の売れ行きですね!
それは入荷してもすぐに売り切れるほどだそうです。
ビジネス面においても、まさに売れっ子若手棋士と言っていいでしょう。
オドロキの電子書籍が!!?
そして、個人的に驚いたのですが
最近になって、こんな電子書籍まで出版されていたんです!!
プロ棋士としてデビューしてから連勝記録を伸ばし続ける藤井聡太四段。
彼のデビュー戦にして連勝記録の1戦目となった加藤一二三九段の棋譜を収録。
藤井四段が、プロとなって公式戦初の試合である、
加藤一二三 九段との対局の棋譜110手が一手ずつ掲載されているそうです。
ただの棋譜ではありますけど、やはり藤井四段の棋譜ということで
購入している人も割といるようですね。
これはなかなかのアイデアです!!
オ…オレもマネしたいんだけど…
そこで…
ちょっと私の中の悪魔がささやいてきました…
「お前…このアイデア、パクっちまえよ!!」
そう、藤井四段がプロデビューから29連勝するまでには、
29人のプロ棋士達との対局があるワケですよ!
この書籍はまだ一戦目の加藤九段との対局しか掲載されてません…
残り28人の棋譜を先に電子出版しちゃってもいいんじゃね!?
と…
しかし、一方で天使の声も…
「ダメよ!!そんな事しちゃ!
棋譜ってプロ棋士が作り上げたモノでしょ!
きっと個人が勝手には作れないわ!!」
果たして…
棋譜って個人が出版しちゃって
いいモノなのでしょうかね?
最近、こんなニュースが世間を騒がせました。
朝日杯将棋オープン戦において、
ある個人のyoutuberの方が、放送されている中継を見つつ盤面で棋譜を再現しながら
個人の感想を交えて動画配信していたそうです。
すると朝日新聞のtwitterアカウントから
「朝日新聞将棋取材班です。朝日杯の棋譜中継は権利の侵害に当たります。即時、中止してください」
とメッセージが入り、配信者は即座に動画配信を中断し、謝罪したとの事です。
ただ、その方はオープン戦そのものをyoutyube上で配信していたワケではなく、
あくまでも「将棋盤で棋譜を再現していただけ」なんです。
そこで「個人が将棋の実況をしてはいけないのか?」という
議論が巻き起こってしまった…というワケです。
う~ん、オープン戦そのものを配信してなくても
実況の停止を要請されてしまった、ということは、
「棋譜そのものになんらかの権利が発生している」、
と考えた方がいいのでしょうか?
そうなると、電子出版なんてもっての外となります…
記事ではJ-CASTが朝日新聞に取材を行い、このようなコメントを受け取ったそうです。
「朝日新聞社と日本将棋連盟は、主催者として本棋戦の対局における棋譜を独占的に放送し、配信し、その他の方法で利用できる権利を有しており、そうした主催者としての権限は、法律上保護されるべき利益に係る権利というべきものです。そこで、両者の許諾を得ずに棋譜を配信する行為は、主催者としての上記の権利を侵害し、不法行為に該当し得ると考えております」
つまり、朝日新聞はそのオープン戦に関する全ての「放送の権利」を所有していて、
その「放送の権利」がyoutube配信者さんに侵害されたため
忠告&停止させた、と考えるのが妥当な様です。
あくまでも放送の観点からの忠告、と考えると、
棋譜の電子書籍での出版はOKなんですかね?
棋譜が掲載されてるサイトはOK?
棋譜の著作権については下記の質問掲示板でも質問されてます。
質問者の方は、
ブログや書籍等で掲載されている棋譜をまとめた、とあるサイトについて
それが違法なのかどうかが質問されているのですが、
回答者である弁護士さんはこう答えています。
→ 棋譜自体には著作権がないので問題ありません。
有料コンテンツは、解説・コメントを付したり、操作性を高めることにより付加価値を出していますので、ご指摘のサイトの存在は有料コンテンツ運営者の想定の範囲内でしょう。
なお、解説・コメントの部分は著作権が発生しますから、これらをコピーすることは著作権侵害です。
やはり「棋譜そのものには著作権は発生してない」様ですね。
となると、個人が棋譜を掲載したモノを電子出版しても
特に問題はなさそうに思えます…
「パブリシティ権」?
ただ、一番始めに紹介したニュース記事に
ちょっと気になる事が書いてたんですよね…
有名棋士の対局の場合、その知名度による「パブリシティ権」などの問題も生じ、「著名人や著名人が自己の持っているパブリシティ権を譲渡した相手に無断で、『実況』すれば、パブリシティ権の侵害として不法行為責任を負い、損害賠償の対象となります」という。
この「パブリシティ権」とは
人に備わっている、顧客吸引力を中核とする経済的な価値(パブリシティ価値)を保護する権利を言う。
この権利は、主にその人の「肖像権」が侵害された時に適用される様ですが、
その方の「氏名」等も、この権利に含まれていると解釈できそうなんですよね。
棋譜自体には著作権がなかったとしても、
その棋譜は「藤井四段の棋譜」だから魅力的であり、
彼の名前には経済的な価値があると言えます。
棋譜を紹介する場合には、どうしても「藤井四段の棋譜」と
説明しなければ何の棋譜だか分からないワケで…
例えば、書籍タイトルに彼の名前を含ませて商品化すると言う事は、
藤井四段の「パブリシティ権」に引っかかるのでは無いか?
という可能性も出てきます。
無断で使用するのは危険な様ですね…
まとめ:やっぱ限りなくグレーな気もしないでもない…
将棋の棋士活動を運営する日本将棋連盟は棋譜に関して、
日本将棋連盟は、過去には法的根拠は無い(棋譜に著作権は無い)とした上で、収入問題に発展しかねないので頒布を控えてほしいとの「お願い」をネットコミュニティに対して行っていたが、最近では、棋譜に著作権ありとして、許諾を得ない掲載や転載を禁じているケースもあり、必ずしもスタンスは一定していない。
という感じで、対応がまちまちの様ですね。
ただ、プロ棋士の棋譜って日本将棋連盟が関連した対局の中で
生み出されたモノが多いので、
「その棋譜はコチラに著作権があります」
と言われても納得せざるを得ない気もします。
対応もまちまちだと言う事だし、
いつ牙を剥かれるかわかりませんね…
例え、棋譜自体に著作権がなかったとしても、
その対局を打った棋士の名前は説明しないといけないので、
そこがどう捉えられるかが問題になりそうです。
というか、
どうにでも捉えられそうですけど…
コチラが不利な方に…
う~ん、ちょっと不確定要素が多すぎますね…
と言うわけで…
今回は天使の言う事に従って
パクらない事に決めました!!
エッヘン!!
(↑いばるなよ…)
以上です…