こんばんは!まるく堂です。
時々、私は
こんなスーパーヒーローがいたら
世界はどう変わるだろうか?
と、妄想する事があります…
そのヒーローを仮に、
「オールマイティマン」と名づけることにし、彼の物語を作ってみました!
「オールマイティマン」
第一章「始まり」
とある街で、絶叫しながら人々を襲う悪者が現われた。
悪者は非常に強力な力でありとあらゆる建物を破壊し、いたずらに多くの人々の命を奪っていった。
その街の人口は激減し、もはや市民はなす術もなくパニック状態で右往左往するだけだった。
その時、悪者の前に一人の男が現われた。「お前は誰だ!」と聞くと、
男は「私はオールマイティマン、正義のヒーローさ!」と笑って答えた。
「ヒーローなど、この街にはいらん!」
と襲い掛かる悪者。
「悪い奴はみんなそう言うのさ!」
悪者は彼の必殺パンチであっと言う間に退治された。
これがオールマイティマンのヒーロー伝説の始まりだった。
第二章「活動」
オールマイティマンは誰かが襲われればどこからともなく現われ、
その人を悪党から守り、捕まえては警察に突き出して去って行く。
誰かが車に轢かれそうになれば、空から降り立ち片手で車を受け止める。
剣だろうが銃だろうが彼の強靱な肉体を貫くことはできない。
そして彼の手のひらから発する光は、いかなる病魔をも消すことができる。
余命幾ばくも無いと言われていた患者の前にふと現われ、その光をかざしたかと思えば、次の瞬間、現代医学では治療は不可能とされていた病気が体内からはすっかり消えているのだ。
病院には、涙を流して感謝する人々でごった返す程になった。
台風が来れば、接近前にその巨大な力を使ってかき消し、
地震で甚大な被害が出れば、両手で光を発し、破壊された家はたちまち元通りになり、
歴史上最悪と言われた原発事故ですら、放射性物質の放出を抑え汚染水やその他もろもろの問題を完全に解決した。
その頃には彼の存在は神格化され、人々の多くは彼に感謝をし、子供達の憧れの存在になるのにそれほど時間はかからなかった。
彼のおかげで、一度は街を離れていた人達も戻り人口は元通りになりつつあった。
正体不明のオールマイティマンだが、あるメディアの記者がインタビューに成功する。
「僕は自分ではどうする事もできない被害に苦しむ人達を救うべく、この力を持ったんだと思う。これからも僕はそうありたいんだ。」
この発言は人々の感動を呼び、いつしか彼は世界の救世主とも呼ばれるまでになっていった。
オールマイティマンは昼夜を問わず活動した。日中の彼は様々な病院で入院している患者の全てを治療した。彼にかかればガンはおろか虫歯やちょっとした風邪すらも怖くない。
完治した患者達は、空へと去って行くそのヒーローの背中に感謝の言葉を述べ、喜んで退院していった。
夜は夜で、街にはびこる悪と戦う日々が続く。銀行強盗や殺人犯、逃げる彼らを執拗に追い続け、最後には捕まえて警察に届ける。
おかげでその地域の犯罪発生率は驚異の0%近くまで下がっていった。
この街は「完全に平和な楽園」と称される様になった。
第三章「暗雲」
しかし一方で、不満を唱える人々も増えていった。
オールマイティマンが病院の患者を根こそぎ治療したことで、医師達の収入は激減、病院の経済状況も悪化し、閉院を余儀なくされる所も相次いだ。
警察は警察で彼が連れてくる膨大な犯罪者により、収容所が常にパンク状態。管理面や衛生面にも支障を来し、暴動寸前の状況となっていた。
家が壊れても車が壊れてもすぐに彼に直されるので、建築業者も車業者も売上は激減。
その街は失業者で溢れかえり、オールマイティマンに対する怒りで満ちあふれる様になった。
彼は人々にこう諭した。
「僕は自分ではどうする事もできない被害に苦しむ人達を救うべく活動している。君たちは僕に対して怒っているけれど、残念ながら僕は君達を助ける事はできない。なぜなら、例え失業してしまったとしても自分でどうにかできるからだよ。」
俺達の仕事を奪っておきながら、その言い草は何だ!と、彼の発言は住人の怒りを買いデモや暴動が起きる事態となった。
街は「オールマイティマンはここから出て行け」と言うプラカードを持つ人々で溢れ、時に、街に現われた彼に中指を立てる若者もいた。
ある日、彼は取り囲まれ銃撃された、が、特にダメージはなかった。しかしその時、一人の少年が仲間の誤射により重傷を負った。オールマイティマンは少年を両手の光で救ったが、後に「オールマイティーマンが無抵抗の少年に手を掛けた」と大々的に捏造報道され、彼の名声は地に落ちてしまう。
第四章「転身」
オールマイティーマンの精神はズタボロになっていた。彼を見つめる人々の眼差しにはかつての羨望や憧れといったものは薄れ、恐怖をあらわにしていた。
「せっかく、せっかく…みんなを助けようと頑張ってきたのにこの仕打ちか…」
オールマイティーマンの中で何かが切れてしまった。
怒りで彼の全身はドス黒く、魔物のような形相に変わってしまっていた。
絶望に満ちあふれた彼は、力の限り何もかもを破壊していった。
今まで守ってきた建物も、平和も、そして人間も…
「ぐおおおおおおおおおおっーーーーーー!!!!」
彼は力の限り叫んだ。渾身の力で、何もかもをぶっ壊すつもりで、その両腕を振り回した。
あらかたぶち壊しただろうか、我を忘れるほど暴れまくり、気がつくと力も使い果たしていた。
第五章「ヒーロー」
その時、
「待ちなさい!!」と言う声が轟いた。
オールマイティーマンの前にある人物が立ちはだかった。
「誰だ!お前は!!」
彼が叫ぶと、
「私はパーフェクトガール、正義のヒーローよ!」
オールマイティマンが問う。
「お前は私を…知らないのか…?」
「知るわけないでしょう!つい最近隣町から来たばかりだしね。
ただ一つわかってる事はアンタは私が倒すべき悪者だって事よ!」
力を使い果たしたオールマイティマンには勝ち目はなかった。
彼女の渾身のキックは、彼の体に風穴を開けた。薄れゆく意識の中、彼はそっと呟く。
「この街にヒーローなど…いらないんだ…」
彼女はオールマイティマンを見下ろす。
「悪者はみんなそう言うのよ…」
その言葉が彼に届いたかどうかもわからぬまま、オールマイティマンは息絶えた。
市民らは、新しいヒーローにあらんかぎりの賞賛を送った。
これがパーフェクトガールのヒーロー伝説の始まりだった…
完
今回のお話はAmazon Primeビデオで観ることができる「The Boys」と言うドラマにインスピレーションを受けて作ってみました…
他にも「ワンパンマン」やら「ヒロアカ」とか色々とパクってます。
「The Boys」に関しては感想を書いてますので、ぜひご覧下さい!
以上です…