まるく堂の〇〇やろうぜ!

ニュースや日々の生活において思う事を綴っていくブログです。

黒歴史を語る…若気の至りで作ったシナリオ、「A-Life」

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おはようございます!まるく堂です!

ゴールデンウイークも今日で終わりですね。
 
私はクイズ本を主に出してますが
一昔前は作家にもなりたいなあなんて
思ってました…
でもプロットを作るのも最後まで出来た事が少ないくらい構成が苦手で、今もそんなに変わってません。
 
もうだいぶ前になりますが、
あるシナリオのコンテストがあって
応募した事がありまして、それが唯一完成したものです…
ある映画がモチーフですが、多分あっという間にわかると思います。当時よりちょっとだけ改変してます…

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Kindleに出すにも短いし、シナリオだし、ネタ自体古いと思うのでこのブログがちょうどいいかな…と…
 
少し長いですが
もしもお時間がございましたら
お読みくださいませ〜

 

 

 
(タイトル)A-Life

 
物語は記憶を失った七人が、列車の一室で目を覚ますシーンから始まる。鉄格子の張られた暗い窓。通常よりもはるかに長い車両。どこに行くかもわからぬ列車。 
 
自分達の置かれた状況に戸惑う彼ら七人。ある男(仮にエンジニアとする)は、所持品のノートPCから、列車に搭載された7つの人工知能(AI)が暴走し、それが彼らの記憶障害の原因であることを突き止める。AIの暴走を止め、ここから脱出するには、自分たちの記憶を取り戻すしかない。その失われた記憶に鍵があるのだ。
 
懸命にキーボードを叩くエンジニア、やがてその記憶が戻り、蘇った記憶をキーワードに人工知能が一つ消滅する。驚愕した彼が真実を語りだそうとした直後、エンジニアの体から紫色の液体が溢れ、あっという間に包まれてしまう…息絶える瞬間、この液体の名前が「デフレーション」である事を伝える。見るも無残な肉の塊と化したエンジニア。そして静かに扉が開く。どよめきと絶叫の中、逃げるように扉へ向かう6人。
 
次の車両は研究室のようで、列車の中とは思えなかった。だが、白衣の男(仮にドクター)は、そこに見覚えがあるようだった。とにかく情報を捜し求める6人。そこに男女の裸体が組み合った形をしたパズルがあり、その中に何かが入っているカプセルを見つける。パズルを解こうとする6人。だが開かない。ドクターはその遠い記憶を頼りに、パズルを解く。そこにあったICチップをノートPCに入れ込むと、ドクターの犯した人体実験の記録が出てきた。彼が全てを思い出した瞬間、人工知能はまた一つ破壊された。だが、また紫色の液体「デフレーション」が現れ、ドクターは息絶える。そして次の扉が静かに開く。
 
残った5人はある推測を出した。「俺たちは過去に何らかの過ちを犯し、誰かが復讐をしているのではないか?そして何かの病原体に感染させられている…」と…
だが、記憶を操作された経緯や、何故記憶が蘇ると死ぬのか。デフレーションの正体などの説明はつかなかった。戸惑いがちに進む5人。
 
そこはアンティーク調の部屋で、女性(仮にエコノミスト)は懐かしさを覚えていた。
「次に死ぬのはあんたのようだ」
心無い言葉を吐き散らす男(ウォーリア)、そして女性を励まし、ウォーリアをにらみつける男(ジャーナリスト)。記憶が蘇ることに怯え、嗚咽するエコノミスト。テーブルには彼女が男性と一緒の写真があった。男はジャーナリストだった。だが彼らには記憶が無い。頑なに記憶が蘇るのを拒むエコノミスト。だが、ふとそこから落ちた指輪から記憶を思い出しそうになる。
 
記憶が蘇ったのは、ジャーナリストの方であった。まるでエコノミストをかばうかのようにゆっくりと倒れ、紫の液体に包まれていく…彼の明かした遠い記憶、そして彼の罪、「国を動かすためにした止むを得ずの捏造」は、また一つ人工知能を破壊した。彼は近くにいた少年(仮にX)に頼む。
 
「ああ、なんて事だ…死んでゆく俺たちには真実を言えない訳がある。理由がある。だがこれだけは言える。はは、ざまあみろ!人工知能は6つだ、6つなのだ。この意味を理解しろ。そうすれば、俺たちの勝ちだ」
謎めいた言葉を最後にジャーナリストはエコノミストと少年に微笑みかけ、死んだ。
 
次の車両で、ウォーリアは拳銃を少年たちに向けた。次は自分だという怯え切った目、絶叫。そしてノートPCと、口が聞けないが自分の名前を唯一覚えていた女の子、ハルを連れ闇の彼方に消えた…
 
その車両は果てしなく広がる夜の砂漠のようで、もはや電車の先が見えなかった。少年Xは鋭い洞察力、そして様々な学問、暗号解読に長けていることを自ら知り、ウォーリアの居所を突き止める。だがプロの傭兵でもあるウォーリアは砂に隠れており、逆に見つかり争いになってしまう。エコノミストも殴られるも応戦。すんでのところで、少年は途中で拾ったロザリオをかざす。
 
ウォーリアの記憶が蘇る。虐殺の記憶、その手で奪った命、そして真実。彼は「そんなバカな!」を繰り返し、最後に発狂し、少年Xの左肩を撃つ。「俺からの最後の置き土産だ」そしてデフレーションに包まれ、やがて動かなくなった。
 
残るは、エコノミスト、少年X、ハルの3人になった。少年Xはジャーナリストの言った言葉を何度も思い出していた。真実とは何か?人工知能が7つではなく、6つだという事にどれほど重要な意味があるというのか?
もし彼の言う事が正しいとしたら、あと人工知能は2つの筈だ。一つ減ったのは嬉しいことかも知れない。今はそんな事を考えるだけで精一杯だった。
次は自分かもという、死の恐怖に怯えながらも、真実を突き止めようと決意する少年。同じ境遇にいながらも、強さを取り戻したエコノミスト、そして瞳の輝きを失わないハルの笑顔が少年を救っていた…
 
次の車両は数字や英語の配列、複数の言語が羅列する、現実離れした世界が一面に広がっていた。
まるでそれを辿るように、導かれるように行動を始める少年。
そう、次は少年の番なのだ…
多分、このふたを開けると僕は死ぬ。その覚悟を胸に勢いよくふたを開ける。
そして床に隠された真実を発見する。
記憶が蘇る。
火事の時に失った家族、強いられた孤独…放火の犯人は…僕…
紫の液体が体から溢れる。しかし体がまだ動くうちに何かしなければ!。
 
「次の部屋に行くんだ。早く!!」
 
少年は叫び、ハルとエコノミスト、二人の背中を押すように一緒に走り出す。だが少年はハルを引き止め、すばやくエコノミストを次の車両に押し出し、ドアの開閉ボタンを押して閉じ込めた。窓越しに見えるエコノミストの顔が豹変する。
 
少年はエコノミストと対峙する。
 
「君が…いや、お前がデフレーションだった!」
 
そしてハルの手を取り、反対方向へ逃げ出した。少年の手には、エコノミスト以外の6人が並んでいる写真が握られていた。
 
少年は知った。人工知能は自分たちだったということを。そして自分たちは元々、この列車(コンピューター世界)の住人だったのだ、ということを。彼らはある選出された人格をコピーされたAIで、セキュリティ・プログラムだったのだ。突如侵入されたコンピュータウイルスにより、彼らのAIとしての機能がクラッシュしていたのだった。
その破壊工作を行い、この列車に乗り込んだウイルス、それこそがエコノミスト、いや、デフレーションだったのだ。
 
デフレーションの使命、それは彼ら人工知能を完全に消去するセキュリティキーを見付け出す事。そしてそれは選出された人間の一番心の奥底に眠る記憶「トラウマ」であった。
 
少年を包んでいた紫の液体、即ちコンピュータウイルスは彼には効かなかった。それは正常体の者にだけ作用するものだったからだ。少年は肩に怪我をしていた。それはウォリアーが意図的に少年の体に「バグ」を作り出すためだった。
最後の最後に自らの使命を思い出し、少年Xに全てを託したのだろう…
 
少年は逃げながらも、まだこの列車に起動していないプログラムがあることを知る。それを探してウイルスを駆除しなければならない。しかし、それがどこにあるのかは少年にもわからない…
 
しかし、彼が手を取り、一緒に逃げたはずの人物、それはエコノミストに変わっていた。振り返り、驚愕する少年X。理解が止まる。
不適な笑いを浮かべるエコノミスト。
「あんたが閉じ込めたのはあの能無し娘の方さ…キャハハ!」
 
彼女は握った手から、さらに強力な緑色のウイルス「パニック」を直に発した。見る見るうちに変色していく右腕。
絶叫と共に倒れこむ少年。
 
「後は人工知能の本体であるあの娘を片付ければいいだけ」
 
勝利を確信するエコノミスト。その言葉である事に気づく少年。そして必死の思いで、油断したエコノミストを押し倒し駆け出す。体のバグのお陰でウイルスの進行を遅らせてるようだ。
 
そうだ…
もしも、まだこの列車の中で動いていない機能があるとすれば、それは…
 
少年はハルの閉じ込められた扉にやってきた。迫ってくるエコノミスト。開閉ボタンを押す。
 
それは、ハルの声だ。
 
少年とハルが唇を重ねる。その瞬間、ハルの体は浮かび上がり、強烈な閃光を何度も放った。
エコノミストは同じ数だけ悲鳴をあげ、
やがて静寂が訪れる…
脅威が去る…
止まる列車…
 
列車を降りると、青空が果てしなく広がっていた。振り返る少年、そこには満面の笑みを浮かべたハルがいた。
 
そして彼女は自分の口で事情を語り始めた。人工知能の要塞とも言えるこの列車が、ジャーナリストのもつセキュリティホールを通して侵入を許してしまった事。
デフレーションにメインAIであるハルの持つ主な対抗手段を全て奪われ、最終的にクラッシュという手段を使ったこと。それはウイルス自身の記憶も消してしまうが、全ての人工知能を消滅させる可能性のある危険な賭けであったことなどを伝えた。そして、あたりが急に真っ暗になった。
 
「今回の事態は全て、私の責任です。しかるべき措置はとられないといけないでしょう。そして、あなたは次の実験に参加することになるわ」
 
そういうと、ハルは寂しそうに消えていった。
 
少年がつぶやく。
「違うよハル、僕は君を守るために作られた…これまでも、そしてこれからも…」
 
あるレセプションで、人型ロボットの完成パーティーが行われている。
開発者は驚くべきその精巧さを世界に向けて披露できる事に酔いしれていた。そしてロボットに語りかける。
「さあ、ウイルスにも屈しない私の最高傑作Xよ、皆様にご挨拶なさい」
しばらくの沈黙の後、ロボットは立ち上がり、こう叫んだ。
「私はXではない…私は…ハル…X…どうして…」
 

 

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