文字数:6000字前後
- 今年度No.1と言っても過言ではないミステリー小説 爆誕!!
- 個人的なオススメポイント!
- 作者「夕木春央」さんとは?
- 有栖川有栖さんによるネタバレ解説が公開中!
- まとめ:とにかく最後まで読んで欲しい!!!その一言に尽きます!!
今年度No.1と言っても過言ではないミステリー小説 爆誕!!
こんばんは!まるく堂です!
夕木春央(ゆうき はるお)さんと言う方が執筆した、
『方舟(はこぶね)』と言うミステリー小説を読了しました。
この作品がすごく衝撃的だったので、個人的なオススメ作品として
紹介したいと思います!!
作品紹介
「週刊文春ミステリーベスト10」&「MRC大賞2022」堂々ダブル受賞!
9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か?
大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。
その他ミステリーランキングにも続々ランクイン!
本格ミステリ・ベスト10 2023 国内ランキング(原書房) 第2位
このミステリーがすごい! 2023年版 国内編(宝島社) 第4位
ミステリが読みたい! 2023年版 国内篇(早川書房) 第6位
ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2022 小説部門(KADOKAWA) 第7位
『方舟』は閉鎖された空間で殺人事件が起きてしまうと言う、
俗に言う「クローズド・サークル」と呼ばれるジャンルの作品です。
2022年9月に発売されたのですが、
全国のミステリー通の読者と書店員が選んだ「週刊文春ミステリーベスト10」2022国内部門で第1位を獲得し、さらに!同じくミステリーに精通した読者の方々の投票で決定する「MRC大賞2022」でも堂々の第1位を獲得しているんですね。
この他にも数々のミステリー大賞にも入賞されていて、
現在、一大ムーブメントを起こしていると言っても過言では無い、
とんでもない作品となっているのです!!
あらすじ
久々に大学時代の仲間同士で集まり、とある別荘に来ていた柊一(しゅういち)達。
友人の裕哉(ゆうや)が、少し離れた山奥で大きな地下建築を発見したと言い、
皆でそこに向かう事を提案します。
あまり気乗りしないながらも、好奇心には勝てず全員でそこに向かうことになります。
日も暮れそうな中、茂みにあったマンホールにたどり着く一行。
降りたその先は広い洞窟で、通路の途中、鎖でがんじがらめに巻かれた巨大な岩を発見。その脇を通るとようやく地下建築への扉が現れました。
ここに付くまでに道に迷った事もあり、すでに引き返せない時間となっています。
幸か不幸かその建物は広く地下3階まであり、いくつもの部屋が並んでいました。
ここに来る途中キノコ狩りで迷ったと言う矢崎一家3人と共に、
その日は皆、この地下建築に泊まることに…
しかし翌朝、予期せぬ出来事が起こってしまいます。
何と、急な地震により一階の入り口が大岩で塞がってしまい、
みんな脱出することができなくなってしまったのです。
他に脱出口は無いかと、手分けして必死に地下建築を調べる10人。
そして次第に次の事がわかってきます。
・地下3階にはもう一つの脱出口があるらしいが地震のせいで土砂で埋まり、さらに水没しているので通れない事。
・地下2階に大岩を動かす「巻き上げ機」があり、地下2階に落とす事ができる事。
・しかし地下3階は水没してるため、巻き上げ機を操作する=一人閉じ込められる事になってしまう。
・水は徐々に増え続けており、1週間後には地下2階そして地下1階にまで浸水する事
衝撃の結末でミステリーランキングを席巻中! 極限状況で“生贄”となる犯人探しを描く極上ミステリー【試し読みマンガあり】 | ダ・ヴィンチWebより画像一部参照
柊一達はいやが上にも「誰が一人残り、巻き上げ機を使うのか?」と言う究極の選択を強いられる事になります。
そんな矢先、あろうことか誰も予測し得なかった殺人事件が起きてしまうのでした…
↓こちらのサイトでは冒頭のあらすじがマンガ形式で描かれています。
登場人物紹介
この作品の主な登場人物は10人います。
今回はWaifu LabsとCanvaいうAI自動生成ツール、それとジュエルセイバーの素材を使って
私の勝手な妄想に基づきキャラクター画像を作ってみました。
出版社による公式イメージではありませんし、
原作通りの描写ではない可能性もありますのでご了承下さい!!
柊一(しゅういち)
本作の主人公。システムエンジニアとして働いている。
大学時代の友人達と山奥の地下建築を訪れ、閉じ込められる事になってしまう。
物語は彼の視点で語られていく。
翔太郎(しょうたろう)
柊一のいとこにあたる。職業不詳。
とある事情により、柊一から一緒に来るように頼まれた男。
いつでも冷静な分析力&類い希なる洞察力が強み。
裕哉(ゆうや)
柊一の大学時代の友人、アパレル店勤務。
大学時代は金髪にしていたりと、ややチャラい性格。
数ヶ月前に地下建築を発見したのが彼。
そして今回、大学時代の仲間と共に探検気分で向かった事からとんでもない事に…
隆平(りゅうへい)
ジムのインストラクター。
彼も大学時代の友人だが、ある事がきっかけで柊一との関係がこじれている。
やや粗暴な性格で、人への当たりがキツい…
麻衣(まい)
幼稚園の先生をしている。柊一の大学時代のサークル仲間。
現在、とある悩みを抱えており、柊一に相談しているらしい。
花(はな)
柊一の大学時代のサークル仲間。OL。
さやかと仲が良く、地下建築に閉じ込められた後も彼女と行動を共にするが、
次第に疑心暗鬼に…
さやか
柊一の大学時代のサークル仲間で後輩らしい。
現在はヨガ教室の受付をしている。
矢崎幸太郎(やざき こうたろう)
電気工事士。
家族でキノコ狩りをしてる最中、
迷子になり、外に出ていた裕哉達と偶然遭遇する。
辺りも暗くなる中、地下建築に向かう事に…
矢崎弘子(やざき ひろこ)
矢崎幸太郎の妻。
地下建築に閉じ込められた後は
極力家族だけで行動しようとするが…
矢崎隼斗(やざき はやと)
矢崎夫妻の息子。高校一年生だが年齢より幼く見える。
やや大人しい性格で、柊一達に対して警戒心を露わにしている。
個人的なオススメポイント!
良かった点
犯人捜し&タイムリミットの緊迫感
普通、推理小説なんかは「犯人探し」と言うのがメインテーマでありますが、
大体は探偵役がそれに集中できる余裕&時間があるワケですよ。
でもこの『方舟』の舞台の地下建設では、扉が塞がれて出られない上、
さらに下から徐々に水が浸水してきて、もうしっちゃかめっちゃかなんですよね。
もはやカオスです。
閉じ込められた人達が犯人を捜す理由は、
1人残らなければならない「巻き上げ機」を操作して欲しいから。
その一言です。誰か1人が残る事で他の人達が助かるとするならば、当然殺人を犯した人が第一候補になって欲しいと誰もが考えますよね?
犯人はこの残された9人の中に必ずいるハズですが、当然犯人が自白する事などありません。
本来は10人の中から1人犠牲者を選べば良かったハズなのに、
殺人が起きてしまったせいでその選択肢は狭まってしまいます。
タイムリミットを過ぎれば全員が溺死してしまうのに、
なぜ犯人は殺人を犯してしまったのか?
また、そんなワケのわからない犯人ですから、誰が殺したかを当てたところで、
素直に巻き上げ機を操作して皆のために犠牲になってくれるのかどうか?と言うのも疑問です。
もうお先真っ暗と言っても良いくらいに厳しい状況です。
お互いに疑心暗鬼になり、いつ誰がパニック状態になってもおかしくない綱渡りの緊迫感の中、進んでいくストーリーには終始ハラハラさせられっぱなしでした。
読みやすい文章
夕木春央さんの文章が、本当に読みやすくて個人的にはすごく良かったです。
あまり難しい単語も使ってませんし、文章表現も非常にわかりやすいものになっています。
頭の良い方は、難しい表現を避けシンプルで誰にでもわかりやすく話す、と言うのを聞いたことがありますが、きっと文章でもそうなんだろうなと思います。
ただ、地下建築の建物の構造は文章だけだとややわかりにくい部分もあるので、28ページ目に地下3階までの見取り図イラストがあるので、時々そこは参考にしましたけど…
衝撃のラスト
多くは語りません…
本当に最後まで読んで欲しいです。
皆さんがどんな反応するのか知りたいですね!
もしも本作品を読んだ方がいましたなら、
感想などをコメントで書いてもらえたら嬉しいです。
(ただ、ネタバレは無しでお願いします…)
Amazonレビューで見た、読者が気になった点
私自身は非の打ち所のない作品だと思っているので、
悪かった点と言うのも見当たらないのですが、
Amazonレビューだと容赦なく☆1を付けてる方も割といますね。
もちろん☆5や☆4の方が大半でしたが…
低い評価を付けてる方は、だいたいこんな理由で付けてるみたいです。
文体が軽い?
私は非常に読みやすい文体だと思ってますが、
逆にそのライトな読みやすさのせいで、作品に重厚感が無いと感じる方も一定の割合でいる感じですね。
キャラクターの個性が薄く感情移入しにくい?ご都合主義な設定?
『方舟』の登場人物は全員そこまで変わった個性を持ってるとは言いがたく、
これまで出て来たミステリ作品にありがちなステレオタイプなキャラクターのどれかに当てはまる、と言われればそうなのかも知れません。そこに不満を持っている方もいる様ですね。
あと、全編通してストーリー展開がかなりご都合主義だと感じる方もいる様です。
あくまでも個人的な意見ですが…
おそらく作者の夕木さんは、本作品を終盤から作っていった様にも思えます。
そこから逆算して、様々な設定を突き詰めていったのではないですかね?
なので、舞台が先でキャラクターが後から作られた分、それぞれの人物をそこまで深く突き詰める事が難しかったのかも?なんて思いますね。
(それでも十分にキャラ立ちはしてると個人的には思います…)
ただ『方舟』は割とテンポの良い作品ですし、夕木さんが最も見せたかったのはキャラクターよりも「彼が考えた結末」なのかな?と思うので、それがご都合主義と言われればそれまでではありますが…
でもめっちゃ面白くね?
私はめっちゃ面白かったんですけど!と言うしかないです…
作者「夕木春央」さんとは?
作者の夕木春央さんは1993年生まれなので、2023年時点では29~30歳です。
2019年に「絞首商会の後継人」と言う作品で第60回メフィスト賞を受賞し、
それを改変した『絞首商會』(こうしゅしょうかい)と言う作品で作家デビューを果たします。
大正の東京。
秘密結社「絞首商會」との関わりが囁かれる
血液学研究の大家・村山博士が刺殺された。
不可解な点は3つ。遺体が移動させられていたこと、
鞄の内側がべっとり血に濡れていたこと、そして、
遺族が解決を依頼したのが以前村山邸に盗みに入った元泥棒だったこと――。
頭脳明晰にして見目麗しく、厭世家の元泥棒・蓮野が見つけた
四人の容疑者の共通点は、“事件解決に熱心過ぎる”ことだった――。
2021年には『サーカスから来た執達吏(しったつり)』を出版。
密室から忽然と消失した財宝の謎。
14年前の真実が明かされる
怒涛の30ページに目が離せない。
メフィスト賞作家、圧巻の純粋本格ミステリー!
そして『方舟』が三作品目となり、大ヒットとなったワケです。
今後の活躍が大いに期待される作家の一人となっています。
有栖川有栖さんによるネタバレ解説が公開中!
『方舟』と言う作品は読み終えた後、誰かとちょっとこの作品について話をしたくなったり、
「自分だったらどうしただろうか?」とか「あれ?ここはちょっと変だと思うけどどうなんだろ?」とかいろいろと考えちゃうと思うんですよね。
現在、講談社のサイトでは『方舟』を読み終えた方限定で、
ミステリー作家の有栖川有栖(ありすがわ ありす)さんによる、
『方舟』ネタバレ解説が読めるんですよ!!
え?『方舟』を読み終えた方限定ってどういうこと?
読んでない人は見ることはできないの?
と思った方もいるかも知れませんが、
はい!『方舟』を読み終えた方しか
読むことができません!!
と言うのも、上のリンクからジャンプするとわかるのですが、
ユーザー名とパスワードを入れないといけないんですよ。
で、何を打ち込むのかと言いますと…
ユーザー名は真犯人の名前を、パスワードは
真犯人の最後のセリフの「最後の4文字」を、
それぞれ半角英字でご記入ください。
そう!『方舟』の真犯人の名前と最後のセリフを
半角英字で答えないといけないからですね!!
確かにこれは読んだ人じゃないとわからないです。
でも、読んだ後だと絶対このサイトを読みたくなると思いますので。
読了された方はぜひぜひ訪れてみて下さいね!!!
まとめ:とにかく最後まで読んで欲しい!!!その一言に尽きます!!
今回は夕木春央さんが執筆されたミステリー小説『方舟』を紹介させていただきました。
極力ネタバレになる部分を避けて紹介させて頂いたので、
この作品の面白さを充分に伝えることができたかどうかはわかりません。
でもめっちゃ面白かったんですよ!!
私は特に主人公柊一のいとこ「翔太郎」が好きですね。
彼がどんな活躍をするのかにもご注目下さい!!
『方舟』は電子書籍版も出てます!!
紙書籍版1760円、Kindle版1672円とお値段はそこそこしますけど、
この物語は刺さる人にはその値段以上の価値がある素晴らしい作品だと思います。
読む際はあまり勘ぐらないで、ニュートラルな気持ちで読んだ方がいいかもです。
その方が作品を楽しめると思います。
ご興味の沸いた方はぜひぜひ読んでみて下さい!!
以上です…