まるく堂の〇〇やろうぜ!

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『【推しの子】』“恋愛リアリティショー編”の騒動に思う事…

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目次(文字数:5200字前後)

大人気アニメ『【推しの子】』を巡る騒動勃発

こんばんは!まるく堂です!

 

『週刊ヤングジャンプ』と漫画配信サイト「少年ジャンプ+」で、

2020年より連載されている『【推しの子】』と言う漫画があります。

この作品は赤坂アカさんが原作、横槍メンゴさんが作画を担当しています。

あらすじ

とある田舎町の産婦人科医である「ゴロー」の元に、彼が猛烈に推しているアイドル「アイ」が事務所社長と共にやってきます。なんと彼女は妊娠しており、人里離れたこの病院で子供を産む予定だと言います。

推しが妊娠してる事にショックを隠せないゴローでしたが、アイと打ち解けていく内に、必ず安全に出産させる事を彼女に誓います。

しかし出産直前になり、ゴローは何者かに襲われ死亡してしまいます。

ふと目覚めると、彼は生まれたばかりのアイの子供として転生していたのでした…

と言う感じのストーリーです。

 

本作では主に「日本の芸能界」が舞台になっています。

これまでもそうした作品はいくつか存在していますが、

「2.5次元舞台」や「youtube」と言った比較的新しいものも取り入れられていたり、

また、この華々しい世界に潜む「現実」と言う闇の部分にも焦点が当てられており、

非常にリアルな心理描写や、背筋がゾッとしてしまう様なミステリー的展開もあったりと、かなり新感覚な作品に仕上がっています。

 

アニメも大人気!!しかし…

2023年4月からはアニメも放送されています。

ichigoproduction.com

YOASOBIが歌う主題歌の「アイドル」はyoutubeで配信後1ヶ月あまりで

1億回再生を突破すると言う、前代未聞の出来事も起きています。

www.youtube.com

今や『【推しの子】』は日本だけで無く、世界中から注目を浴びる作品と言えるでしょう。

しかし、とあるエピソードの放送をきっかけに、現在は物議を醸すこととなっているのです。 

news.livedoor.com

問題になっているのは、アニメ第6話からの“恋愛リアリティショー編”と呼ばれるエピソードです。

 

話の内容としては…
とある事件の真相を探るために芸能界に入る事を決意した主人公の一人「星野アクア」が、恋愛リアリティ番組「今からガチ恋始めます」に出演する事になります。

その番組では複数人の出演者がいて、登場人物の一人である女優の「黒川あかね」は番組内でそれほど存在感を示せずにいました。

事務所から「(番組内で)爪痕を残せ」と言われプレッシャーを感じていたり、番組スタッフから彼女に「悪女役」を求められ、それを演じた結果、共演者の顔にケガを負わせてしまいSNSで大炎上、容赦の無い誹謗中傷を浴びてしまいます。

彼女は精神的に追い詰められ、歩道橋から飛び降りようとしたところをアクアに救われる…

というストーリーになっていました。

 

この内容が2020年5月、『テラスハウス』と言う実在する恋愛リアリティ番組に出演されていた女子プロレスラー「木村 花」さんがいわゆる「コスチューム事件」と呼ばれる番組内での行動からSNS上で誹謗中傷を受けてしまい、それが原因で自殺したと言う事件を想起させるとして騒動になっているのです。

 

木村花さんの母親でありご遺族の木村響子さんは、

ご自身のTwitterにて

実際にあった話をそのまま使うことで
花を大切に想う人たちが
深く傷つくことは
想像できないのかな

まして、命日が近いこのタイミングでのアニメ配信?

売るため
話題になるためなら
手段を選ばないやりくち

心から
軽蔑します

花のファンの方には
絶対にみないでほしい

と痛烈に批判したコメントを出しています。

彼女の言葉に賛同する方も数多く見られましたが、

「売るためなら手段を選ばない」「心から軽蔑」など

かなり強い言葉を使って作品や制作者側を批判しているため、

『【推しの子】』の一部のファンから、「作者が鬱になって自殺でもしたらどうするんだろう?」「アンタのせいでアニメなくなったらどうしてくれんだ」といった抗議が殺到と言う流れになってしまい、

一部ファンとご遺族の対立は現在も平行線を辿っています。

 

今回、この騒動の記事をひととおり読み終えたのですが、

私はまだ独自の見解と言うものを見いだせずにいます。

何となく「こうではないだろうか?」と思う事はあるのですが、

非常にセンシティブな問題でもありますし、まだモヤモヤしている段階なので、

ふと疑問に思った事を一つ一つ考えてみたいと思います…

 

疑問:フィクション作品の場合、ご遺族への配慮はどこまで必要なのだろうか?

まずは制作サイド側から考えたいと思います。

 

例えば今回の「【推しの子】」の「恋愛リアリティショー編」の様な、

実際に被害者が存在する事件が何らかのモチーフになっている場合、

・「ご遺族への配慮」はどこまで必要なのだろうか?

・また「配慮」とは具体的にはどのような事を言うのだろうか?

という疑問が沸きました。

 

日本では木村花さんの自殺が悲劇的な出来事として広く知られていますが、

実は海外のリアリティ番組では約50人以上の死亡者や自殺者が報告されています。

これにつきまして、当ブログで「リアリティ番組」に関して書かせて頂いた記事がありますので、ご参照いただければと思います。

marukudo.hatenablog.com

あくまでも個人的な推察ですが「【推しの子】」の作者さんはおそらく、木村花さんの事件だけではなく、さまざまなリアリティ番組に関連する事件を総合的に取材し、ストーリーを構築しているのだと思われます。

と言うのも、ストーリー展開としては共通点こそあるものの、実際に起こった木村花さんの事件とは違ったものになっていますし、少々ネタバレになりますが「黒川あかね」と言うキャラクターは主人公のアクアによって助けられています。

 

実在する事件をモチーフにした作品と言うのはこれまでも数多く作られて来ました。

例えば、柳楽優弥さんが14歳でカンヌ最優秀主演男優賞を獲得した「誰も知らない」(2004年)と言う映画は「巣鴨子供置き去り事件」がベースとなっていますし、

2010年の「冷たい熱帯魚」と言う映画は「埼玉愛犬家連続殺人事件」を元に製作されています。

 

どちらも実話がベースではありますが、登場人物の名前は架空のものであると思われます。

『【推しの子】』の場合も、あくまでもフィクション作品と言う位置づけですし、全ての登場人物において、実在されている方のお名前は使用されていません。

ドキュメンタリーならともかく、ある事件をモチーフにした作品を作ろうとした場合に

取材したり参考にした全ての事件関係者への許諾が必要になるならば、

おそらくはその作品は完成しないと思うんです。

 

3年ほど前のYahoo知恵袋で、私と同じ様な疑問を持っていた方がいましたので、

ここに紹介しておきます。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

やはり「事件」そのものは著作権など何らかの権利が発生してるわけではないと思うので、理屈としては、

「有名な事件をモチーフにして作品を作るのは誰でも自由」と言うことになります。

(ただしあくまでも独自のストーリー展開を加えたフィクション作品に限りますし、実名を使用する等、プライバシーの権利や肖像権に関わる場合はおそらく許諾は必要になります。)

 

ご遺族の気持ちとしてはやりきれなさが残るのも事実…

理屈としては「誰でも有名な事件をモチーフに作品を作ることは可能であり、

登場人物もストーリー展開も異なるフィクション作品であれば、一般的には誰の許可もいらない。」と言う事はわかりました。

 

ただ『【推しの子】』に関しては、

木村花さんの事件を知ってる方ならば多くの方が“恋愛リアリティショー編”を読んで彼女の事を思い出してしまう、と言う事は否めない事実だと思います。

それだけ、彼女の事件は非常に衝撃的な出来事でした。

ご遺族の方の立場からしてみれば「やり切れなさ」や「怒り」が発生してしまうのも自然な事ではあると思います。

おそらくは「娘の事件が許可無くエンタメ作品の材料にされてしまった」と考えてしまったとしても不思議ではありません。

 

製作サイドの行動にも賛否が…

作品の題材が題材だけに、本来は製作サイドも慎重に取り扱う必要がありますが、

現在、物議を醸しているキャンペーンがあります。

 

キャラクターの一人である「黒川あかね」が歩道橋から飛び降りる直前のシーンの待ち受け画像を配布することがアナウンスされており、これに対して疑問の声が上がっています。

topics.smt.docomo.ne.jp

個人的には「【推しの子】」“恋愛リアリティショー編”は、芸能界の闇やリアリティ番組の問題を取り上げながら、SNSの誹謗中傷がどれほど人を傷つけるものであるかと言う強いメッセージ性が込められていると思っています。

エピソードの中で、本来の自分とは違う行動をしてしまった「黒川あかね」は、SNSで叩かれ、心身共に疲弊してしまうくらい苦しんでいます。

確かに印象的なシーンではありますが、それを待ち受け画像としてプレゼントと言うのは、何か腑に落ちない気もしますし、本来のテーマから逸脱している様な印象も受ける方もいるかも知れません。

 

SNSで繰り返される誹謗中傷

現在進行中の問題として、

SNS上で木村花さんの母親である木村響子さんへの誹謗中傷が続いています。

この状況は、木村花さんがSNSの冷酷な言葉によって命を絶った事件と同様の構造を持つものであり、非常に残念な状況です。

 

確かに木村響子さんのツイートは非常に強い口調で作品や制作サイドを批判したものとなっていましたし、事件そのままを物語に落とし込んでいると言う少し誤解のある言い方もあり、ファンの方からすればカチンと来る物言いではあったかも知れません。

しかし、木村さんは自分の娘さんをリアリティ番組が原因で亡くされていて

それは想像もできないほどの苦しみだったと思います。

 

木村さんへの反論コメントを見ると、

「作品を見てから判断して下さい。」

と言う思いを持つ方も多くいる様です。

その作品をしっかりと読む、またはしっかりと見た後に評価を下すというのは

一般的には正しい事であると思います。

ただ今回、その考えを木村さんのご遺族に向けるのは

少々酷というものです。

 

いくら話の展開が若干違っているとしても、

リアリティ番組をテーマにし、SNSの中傷で心身共にボロボロになってしまう

キャラクターが登場する作品は、どうしたって娘さんを思い出してしまうし、

辛くなってしまうのが当然だからです。

なので、今回はご遺族側が一般的な作品批評をされる事は非常に難しい事であると思います。

そこは慮(おもんぱか)るべきではないかとも思うんです。

 

「【推しの子】」では、SNSの誹謗中傷が人々を深く傷つけるという事を問題提起しているとも考えられます。しかし、それにもかかわらず、作品を読んだ上で個人に対して酷い言葉を投げかける人々がいることは、作品から何も受け取っていないのではないか?と疑問に思ってしまうんですよね…

 

「問題提起をする素晴らしいアニメ、とファンの方が私に言ってくるんですが、そんな素晴らしいアニメのファンの方がなぜ私を誹謗中傷するのか」

木村さんがこう思ってしまうのも仕方がないとも思われます。

 

まとめ

今回はかなり長文になった割には、自分自身、最後までこれと言った結論が出ずに終わりそうです。

自分の手に余るくらい、すごく難しいテーマでしたね…

 

ただ一つわかった事は…

多くの人が楽しめる作品であっても

一部の人を傷つけてしまう事がある

と言う事でした。

 

例えば、戦争状態にある国の方々が今現在戦争映画を楽しめるはずもないし、

自然災害で辛い経験をした方がディザスター映画を好んで見るワケがありません。

 

今回の『【推しの子】』に関しても、傷ついている方々もいらっしゃいます。

ただ、ご遺族の方に何らかの配慮というのはあった方が良いのかどうか?と言う結論は

私には出せませんでした…

と言うのも、過度な配慮が行き過ぎると、最終的にはアニメの放送中止や漫画の打ち切りなどの結果にもなりかねませんし、それによって「恋愛リアリティショー」そのものがタブーとされ、作家の創造性や表現の自由が制限されてしまう可能性があるのは、

それはそれで新たな問題にもなりそう、とも思うからです。


この「配慮」と言う部分は、どうなれば正解なのだろうか?と言うのが

自分でもまだよくわかりません…

非常に難しい問題だと思います。

 

皆さんはどう思いますか?

 

『【推しの子】』は下記アプリで初回全話無料で見ることができます。

以上です…