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1990年代に起きた、とあるアーティストの悲劇!!
こんばんは!まるく堂です!
私はここ数ヶ月「Youtube プレミアム」を契約しています。
動画の広告が一切表示されなくなるのと、音楽聴き放題の「Youtube Music」も使えるので重宝しています。
最近は、自分が幼い時や学生時代に聴いていた曲のミュージックビデオを頻繁に見てたりします。
古くは80年代の松田聖子さんや中森明菜さんやチェッカーズ、90年代のミスチルやTRF等の小室ファミリー系とか…なんか急に懐かしくなったんですよね。
そして海外の曲も割と好きで、当時流行していた洋楽なんかも聴いています。
皆さんはこの曲をご存じでしょうか?
1990年代初頭、「C+C ミュージック ファクトリー(C+C Music Factory)」と言うアメリカの音楽グループがリリースした「Gonna Make You Sweat (Everybody Dance Now)」と言う曲です。
「エビバディダンスナウ!」と言う女性のパワフルなハイトーンボイスから始まるこの曲はかなり衝撃的で、40代~50代くらいの方ならば、おそらく一度は聴いたことがあるのではないでしょうか?
ミュージックビデオで歌っているのは「C+C ミュージック ファクトリー」の当時のメンバー「ゼルマ・デイヴィス(Zelma Davis)」さんです。
そしてもう一つ、当時海外で流行した曲を紹介したいと思います。
「ブラック・ボックス(Black Box)」は1990年代の初めに人気のあったイタリアの音楽グループです。
この「Strike It Up」と言う曲は女性ボーカルと男性ラップが混合された曲で、
特に女性ボーカルの非常に伸びのある声が特徴的で、聴いててかなりテンションが上がる曲なので私は好きです。
「ブラック・ボックス」は世界的にも有名なグループなのですが、日本ではそこまで知られていないと思います。
なぜ私が知ってるかと言うと、当時青森のとあるローカル番組でこの曲がやたら紹介されてた時期があって、その番組を見る度にこの曲も耳にこびりつくくらい聴くことになってたからです。
ミュージックビデオで歌っているのは「ブラック・ボックス」当時のメンバーである「カトリン・キノール(Katrin Quinol)」さんです。
2つの曲にまつわる謎…!?
ところで、
ただいま紹介させていただいた
「Gonna Make You Sweat (Everybody Dance Now)」と
「Strike It Up」と言う曲なのですが、
実は…
どちらも同じ人が歌っているんです!!
これを聞いて一瞬「ん?」と不思議に思った方もいるかも知れません。
一方は「C+C ミュージック ファクトリー」と言うグループがリリースしているし、
もう一方は「ブラック・ボックス」と言うグループがリリースしています。
違うバンドなのに同じ人が歌っている!?????
まあ、同じ人が掛け持ちでバンドのボーカルをやってるなんてのはよく聞く話ではあります。
しかし!!それぞれのミュージックビデオで歌っている方達は…
顔立ちが全く違うので別人である事は明らかです。
これって…一体どういう事なのでしょうか?
種明かし
実は…
それぞれの曲を歌っているのは
ミュージックビデオに出演している
彼女たちではなかったのです!!
実際に歌っていたのはこの記事タイトルにもある
「マーサ・ウォッシュ(Martha Wash)」さん
その人なのです!!
Wikipediaより画像参照
マーサ・ウォッシュさんは、1953年生まれのアメリカ合衆国の歌手です。
1970年代には「ウェザー・ガールズ(The Weather Girls)」というデュオグループ
で活動し「It's Raining Men」と言うヒット曲を出しますが、以降は鳴かず飛ばずで1988年に解散します。
その後、ウォッシュさんはソロ活動を開始。様々な音楽グループでセッション・ボーカリストとして参加します。その頃の彼女の主な活動は曲のデモ音源の製作や、バックコーラスだった様です。
1990年11月「C+C ミュージック ファクトリー」はデビュー曲である「Gonna Make You Sweat (Everybody Dance Now)」をリリースします。
この曲で使われていたリード・ボーカルはマーサ・ウォッシュさんのものだったのですが、それは無断で使用されたものでした!
マーサさんはこの曲のデモテープ用の音源として歌うように依頼されていたのですが、製作サイドの予想以上の出来映えだった事からそのままリリースと言う流れになったと思われます。
デビュー曲にもかかわらず「Gonna Make You Sweat (Everybody Dance Now)」はアメリカで100万枚以上を売り上げ、世界的にも大ヒットを記録します。
しかし、それでも彼女の名前は決してクレジットされる事は無く、一切を伏せられた状態でリリースされてしまったのです。
しかもミュージックビデオでは前述のゼルマ・デイヴィスさんが出演し、まるで彼女が全て歌ってるかの様な仕上がりとなっていました。
いわゆる「口パク」状態ですね…
その背景には、当時のダンスミュージックはスラッとしたモデル体型の方が、ダンスミュージックを歌うのが主流だったのも挙げられるかも知れません。
マーサさんはかなりふくよかな体型であったため、表だっての採用を見送られたのかも知れません。
現在のポリコレ全盛のこの時代だったならば、プロデューサーや製作会社もボロクソに叩かれてた案件だったと思います。
理由はどうあれ、声だけの無断採用が許されて良いはずがありません。
マーサさんは「C+Cミュージック・ファクトリー」のロバート・クリヴィルズとデヴィッド・コール、そしてレコード会社であるソニー・ミュージックエンタテインメントを訴える事になります。
この裁判は1994年に和解し、マーサさんの名前がようやく記載される事になったのです。
同様の出来事は「ブラック・ボックス」内でも…
一方の「ブラック・ボックス」において、
当時マーサさんは、彼らのために合計6曲のデモテープを製作していたのですが、
なんと!そのままマーサさんのボーカル入りの音源のままリリースされる事になった様です。
彼女の声が入ったままリリースされたのは「Strike It Up」の他にも「I Don't Know Anybody Else」「Everybody Everybody」といった曲があるのですが、
それらは多くの国でトップ10入りを果たしました。
それにもかかわらず、「ブラック・ボックス」ではマーサさんの名前を明記せず、
存在自体をまるでいなかったかの様に振る舞い、ミュージックビデオでは「カトリン・キノール」さんが出演していたのです。
堪忍袋の緒が切れたマーサさんは、1990年9月に製作会社のRCAレコードとブラックボックスを訴えます。その後、RCAレコードはマーサさんと和解するために相当額の報酬を支払うことを決定し、正式に彼女とレコーディング契約を結び、彼女の全国ツアーに資金を提供したと言うことです。
存在を隠されながらも、歌った曲の多くが大ヒットしていたマーサさん。
なんと!合計で15曲がヒットチャートでナンバー1になっていたそうです。
こうした一連の事柄から、
ローリングストーン誌ではマーサ・ウォッシュさんを
「90年代で最も有名な無名歌手」
と評した事もある様です。
言ってることは矛盾してますが、言い得て妙な表現ですね!!
ちなみに、ミュージックビデオに出演されていた女性達はどうなったのかと言いますと…
「Gonna Make You Sweat (Everybody Dance Now)」に出演されていたゼルマ・デイヴィスさん(写真左)は、「C+C ミュージック ファクトリー」において数々の曲で演奏もしてきた様ですが、ミュージックビデオで「口パク」出演が発覚してからは、一時脱退していた時期もある様です。
しかし元々音楽の才能がある方だった様で、ソロ活動後はビルボード・ミュージック・アワードを5回、 MTVビデオ・ミュージック・アワードを2回受賞し、グラミー賞にもノミネートされています。
一方、「Strike It Up」で出演されていたカトリン・キノールさんはと言いますと、
「口パク」事件以降はかなり叩かれてしまい、1991年末に「ブラック・ボックス」脱退を余儀なくされます。
その後はソロとして何作かアルバムを出している様です。
まとめ:80-90年代は権利関係も未成熟な時代だったとも言える…
今回は数々のヒット曲の立役者でありながらも、
その存在をないがしろにされてしまった悲劇のアーティスト、
マーサ・ウォッシュさんを紹介しました。
当時は、マーサさんだけではなく、歌は上手いけど音楽業界での認知度が低い人を起用し、ミュージックビデオやステージでは別なパフォーマーが出演するなど、その存在が隠されることが多々あった様です。
有名なのは「ミリ・ヴァニリ事件」と呼ばれる口パク事件があります。
「ミリ・ヴァニリ」は歴史上唯一、グラミー賞を剥奪された音楽グループでもあります。
↓詳しくはこちらの方のサイトでまとめられていますので、ぜひご参照下さい!!
話を戻しまして、マーサ・ウォッシュさんについてですが、
御年69歳(2023年6月時点)になった現在も歌手として活動をされています。
2023年1月にはニューヨークでライブを行っていた様です。
動画ではブラック・ボックス時代の曲をメドレーで披露されています。
これからも末永く活動していただければと思います!!
以上です…